海老原一司のBlog -論理思考講師とプロマネとエグゼクティブコーチ

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【書評】『誤解学』論理思考でわかりやすい文章を書くノウハウ

「渋滞学」で有名な東大教授西成さんの本です。
西成さんは、理系中の理系、工学系の科学者です。「誤解学」という、ふつうに考えると文系の話題に思えます。誤解学という言語学、コミュニケーション学が主体となりそうな題材を一貫して理系の切り口で扱っているのが面白いところです。

■「誤解学」とは

●科学者が、誤解という言語学領域について論理的に研究した本

西成さんは、交通渋滞のメカニズムをモデリングにより分析した渋滞学で有名な科学者です。
「誤解学」では、理系中の理系、科学者っぽく、誤解のメカニズムをモデリング手法で分析を試みています。

 

■論理思考でわかりやすい文章を書くのに役立つ誤解学

論理思考講師として、年100個くらいの文章を個別添削している身としては、誤解を防ぐ方法が、かなり印象に残りました。気に入ったので、論理思考研修のテキストに参考解説として加えています。

●誤解学からの学び:誤解が生じる最大の原因は、省略

 論理思考講師として、印象に残ったのは「誤解が生じる原因で最大なものは『省略』にある」という一文。

 

論理的文章のコツ:誤解を防ぐための省略と無駄の違い
・文章では、省略は減らす、無駄は削る。
・削っても情報量が変わらないのは無駄。情報量が減るのは省略。

●「誤解学」からの学び:情報量が多いとは、曖昧さを減らすこと

論理思考講師として、印象に残ったもう一つは、20世紀初頭の電気工学者兼数学者のクロード・シャノンによる情報量の定義の話。

・シャノンの情報量の定義

「情報量は、情報を受けとったことで曖昧さが、どの程度減ったか」をもって計ることができる。

つまり、誤解を防ぐには、相手の持つ曖昧さを減らすこと。曖昧さを減らすことは、相手に多くの情報量を渡すことと同義。ということです。

 

<Wikipediaより>

1948年ベル研究所在勤中に論文「通信の数学的理論」を発表し、それまで曖昧な概念だった「情報」(information)について定量的に扱えるように定義し、情報についての理論(情報理論)という新たな数学的理論を創始した。

翌年書籍『通信の数学的理論』で、シャノンは通信におけるさまざまな基本問題を取り扱うために、エントロピーの概念を導入した。情報の量(情報量)を事象の起こる確率(生起確率)によって定義し、エントロピー(平均情報量)を数式で定義した。

そして、ノイズ(雑音)がない通信路で効率よく情報を伝送するための符号化(「情報源符号化定理」または「シャノンの第一基本定理」)と、ノイズがある通信路で正確に情報を伝送するための誤り訂正符号(「通信路符号化定理」または「シャノンの第二基本定理」)という現在のデータ伝送での最も重要な概念を導入した。

これらの定理は現在、携帯電話などでの通信技術の基礎理論となっており、情報技術の急速な発展に結びついている。

 

 


 

 

■『誤解学』紹介

 誤解学は、新潮選書から発売されています。

誤解学は、「誤解」という論理学やコミュニケーション論のごく一部となりそうな狭いトピックを、誤解単体で学問体系として扱っている唯一の本ではないかと思います。

 

誤解学 (新潮選書)

誤解学 (新潮選書)