海老原一司Blog -論理思考講師×エグゼクティブコーチ

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【営業ヒアリング研修の一コマ】RFP(要求仕様書)と比較表出されたら負け!?

1.営業ヒアリング研修の一コマ:顧客からRFP(要求仕様書)出されたら負け!?

 

●営業ヒアリング研修で、題材となったRFP(要求仕様書)を出された商談

海老原です。
「あなたは顧客からRFP(要求仕様書)を出されたことがありますか?」
先日の営業ヒアリング研修講師での一コマです。私の行う営業ヒアリング研修の受講者は、研修題材として自分の担当顧客の商談を持ち込みます。
 
Aさんは、提案中のある商談を持ち込みました。Aさん曰く「顧客窓口担当者の話をよく聞いて対応している」とのこと。しかし、私には、どうも顧客担当者の表面的な発言内容、ウォンツに流されているように見えました。
 
この商談は、下記のように顧客からRFPを出されたようです。
  1. 顧客窓口担当者から自社商品の問い合わせがあった
  2. 顧客訪問し商品説明を行った。「検討します」とのこと
  3. 2日後にRFPがメールできた。1週間で比較表を埋めてほしいとのこと
 一見、問題ないように思えます。しかし、私は営業ヒアリングがうまくいっていないなと感じました。どういうことでしょうか?

  2.営業ヒアリング研修の一コマ

 
私は、なぜ、営業ヒアリングがうまくいっていないと感じたのでしょうか。営業ヒアリング研修で、Aさんと顧客窓口担当者とのやりとりをより具体的に教えてもらいました。

2-1.営業ヒアリング研修の一コマ-顧客からRFPを出されたら負け 

 Aさん:今回の商談を持ち込んだ若手営業

Bさん:一緒に研修を受講したベテラン営業

 

【海老原】「『RFP出されたら負け』って言葉、知ってますか?
【Aさん】「初耳です。」
【Bさん】「知っています。RFPの内容は、提案する営業担当者が主導して作るべき、という話しですよね。」
 
【海老原】「そのとおりです。RFPという体裁に限らず、最終的には顧客から営業に必ず提案依頼がきます。しかし、RFPが出るときは、営業担当者に提案依頼する要件が固まったときです。たいてい要件が固まる前に顧客企業内では、検討が始まっているはずです。RFPより先に商談がはじまっているべきです。」
 
【Bさん】「えっ? 今の商談で、まさにRFPをもらっています。『負け』なんでしょうか?」
【海老原】「もちろん、必ず失注となるわけではありません。しかし、RFP作成過程に食い込めなかった時点で、後手に回っていることは確かです。RFPが出る前から商談している競合企業がいる可能性が高い。」
【Bさん】「そうなんですか。」

2-2.営業ヒアリング研修の一コマ-RFPの次に比較表作成依頼

  

【海老原】「顧客担当者は、RFPを何社かに出しているでしょう。その場合、次はRFPを元に『比較表』を作ることが多いですね。」
 
【Bさん】「えっ? 今『比較表』作らされています。」
【海老原】「比較表の項目は指定されていますか?比較項目が指定されている場合、次の2つのどちらかです。
  1. 相見積のための比較表。つまり値下げ交渉材料
  2. 顧客担当者が比較表を作ること自体をゴールとしている
 
 
【Bさん】「そういえば、『比較表作れと上司に言われた』そうです。」
【海老原】とすると、顧客担当者は、購買決定に特別意志を持っていないかもしれません。つまり、意志決定者は、あくまで上司。上司に言われ、手足として比較表を作っているだけですね。
 
【Bさん】比較表を埋めることしか考えていませんでした。カナヅチで打たれたような、感じです。

 

  3.営業ヒアリング:RFPの裏で顧客社内で起こっていること

3-1.窓口担当者は上司命令で情報収集しているだけ

  1. 顧客上司から担当者に製品調査の依頼が来る
  2. 顧客窓口担当者は、5件程度、ネットで調べたり、資料請求する
  3. 顧客窓口担当者は1、2社に会う。資料説明をしてもらう
  4. 顧客上司へ中間報告すると、比較表作成を依頼される
  5. 顧客窓口担当者は、詳しい説明を受けた会社の資料を元に比較表原案作成。資料請求をした会社に比較表穴埋めを依頼する 
  6. 各社の情報を集め比較表完成。意思決定者である上司にわたす

 

この場合、比較表原案を作成する前の段階、またはそれ以前でコンタクトがとれている企業が絶対有利です。

 

 

4.顧客窓口担当者が、比較表作成で考えること

比較表の項目が決まっており、比較表の穴埋めだけ依頼される場合があります。このとき顧客担当者の目的は「比較表作成自体がゴール」か「相見積で値下げさせるための材料づくり」の、どちらかです。

 4-1.比較表の体裁を整えたい

比較表を作る場合、社内説明上、最低3社は比較したいところ。本命は2社で、数合わせのために3社目、4社目に穴埋めだけ依頼することもあります。 

4-2.相見積もりで値下げ交渉したい

また、必要とする承認スペックが大体決まっていた場合、比較表上は同等になる商品を、2、3個相見積もりをとります。こうして、値下げ交渉に使うのが、購入側の常套手段です。   

典型的には、「比較表を使ってスペックが要件にあう企業を2,3社に絞る」「残った2,3社にさらに相見積もりをして値下げ競争をさせる」ことになります。