海老原一司のBlog -論理思考講師とプロマネとエグゼクティブコーチ

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【使える学習理論:スモールステップの原理】すごいコーチの特徴

■大学時代のテニスコーチ経験

大学時代は、大学院時代も含めて6年間はサークルやスクールで毎週2,3回はテニスを
していました。
最後の2年ぐらいは、スクールでアシスタントコーチもしていました。
(テニスの実力は、今では見る影もないんですが、、(笑))

他にも、塾講師、専門学校講師、家庭教師などティーチング系のバイトが多かった私は、
特にサークルでは 教えまくっていました。
ほぼすべての人に教えていました。合計300人ぐらいは教えたでしょうか。

しかし、しばらくやっていくと、うまくいくアドバイスとうまくいかないアドバイスが
あることに気づきました。
もちろん、間違ったことを教えるのは論外ですが、単に「正しいこと」をいうだけでは
十分でないことに気づきました。

 

■アドバイスがうまくいくとき/いかないとき

テニス雑誌を読みまくった(年30冊ぐらい?)私はみんなにアドバイスをしてきました。
そして気づいたのは、同じアドバイスをしても効果がある人とない人がいる。
つまり(当たり前ですが)「人によって最適なアドバイスは異なる」わけです。
#もちろん、最大公約数的なアドバイスはありますが。

ある程度、効果的なアドバイスができるようになって、次に引っかかったのが「教えすぎ」。
はじめのうちは、アドバイスは多いほどよいと思っていました。
しかし、テニスで1球1球を打つ時間はたかだか数秒。
その間に意識できるアドバイスはせいぜい2つまで。できれば1つ。
1つのショットで、3つ以上教えれば相手は混乱してしまいます。


■すごいコーチのアドバイスは?

比較的たくさんの本職のスクールコーチを観察する機会に恵まれた私は
よいコーチはどんな教え方をしているかを観察してみました。

それでわかったのは、以下のことでした。
1)『普通のコーチ』は、みんなに「共通」の最大公約数的アドバイスをする。
2)『よいコーチ』は(共通のアドバイスもするが)、その人にあった「個別の」
 アドバイスをする
3)そして、『すごいコーチ』は、「個人ごとにその人が劇的に変わるごく少数のポイント」
 についてアドバイスをする

 

先に書いたように特にテニスのような運動系では、一度にたくさんのアドバイスは禁物。
1度にたくさんいわれても、「理解」できても「実行」できないし、ましてや
「身につく」までには、同じことを何度も繰り返す必要があります。
すごいコーチは、少数のアドバイスをして、それをできるまで繰り返させるわけです。
#そして、身につき入ってから次のアドバイスをする。

すると、当然たくさん目に付いてもそのうちいくつかを選ばなければいけません。
すごいコーチはこの厳選加減がすごい。
(その人の発展段階等にもよるが)人は「このポイントが改善されれば全体がぐっとよく
なる」というポイントをいくつか持っています。
私も、教わる方/教える方の双方で何度か経験がありますが、テニスの場合それができれば、1日で素人がみてもあきらかにプレーの質が変わって見えるほど変化する場合もあります。


■よいコーチの条件

つまり、 よいコーチに必要なことは、以下のことではないかと思います。
1)生徒ごとにその人のもっとも大事な変化点を見つけてあげること
2)そして、それが改善できるよう、できるまで繰り返しやらせること
  (そのためには、ポイントが少なくてはならない)

また、付け加えるなら、
3)相手が実行しやすい方法を考えてあげる
のも重要な点だと思っています。
(たとえば、「スイングが小さい」のが弱点の生徒がいたときに「大きく振って」では
だめで、「アウトするように打ってみて」のアドバイスで成功したことがあった)


■教育への応用


最近思っているのは、これはテニス以外、いや運動以外でも教育系全般に使える考え方ではないかと思っています。
特に、知識系よりベーシックな仕事の仕方や思考力において。


仕事などで、単にその場で注意を与えるだけで、勝手に伸びていく優秀な方もいます。
しかし、それはごく少数の人々。
大抵の人は同じような失敗を何度も何度もしてしまいます。

その原因を個別に解析した上で、改善方法をパッケージ化してあげて、できるまで何度も繰り返してあげる。
それで、やっと身につくことができるのではないか、と感じています。